eラーニングの動画配信(1)

ブロードバンドも普及して動画配信もあたりまえの時代となってきました。
2005年くらいにVOD配信パッケージを販売していた頃はどこに持って行ってもそんな帯域は用意できないと言われたのが遠い昔のようです。
動画配信というとYou Tubeニコニコ動画の様に無料で利用できるサイトが増え、活用されています。配信方法としてはFlashVideoが多く、Windows Media形式は押され気味のようです。
ここでeラーニングの動画配信の特色について考えてみます。
なお、今回はFLV、Windows MediaSilverlightQuickTimeだけを対象としています。特別なプラグインを入れるものは無視します。いくつか扱ったことがありますが、酷い目にあったので。

特徴

1.1コンテンツあたりの再生時間が長い
 動画配信はCMのような使われ方をすることが多いです。このケースだと再生時間は3分以内と短いです。一方、eラーニングの場合は授業、セミナーをそのまま流したい要望が非常に多い傾向があります。大学などの授業は90分と長い為、30分くらいに分ける事が多いです。

2.静止画の重要性
 セミナーや授業は映画などと違い、ホワイトボードや資料等の文字や図の情報が静止された状態が長く続く傾向にあります。動画配信では静止画に弱いものも多く、サンプル動画できれいに見えても実際に使いたい動画を入れてみるとまったく文字が読み取れない場合もあります。

3.スロー再生
 スポーツなどの実技系では体の動きをよく見るため、スロー再生が重要となります。また、手話のビデオでもスロー再生が必要だと言われた経験があります。

4.時短再生
 音声がちゃんと聞ける状態での早送り再生機能です。セミナーなどを早送りして視聴するのに利用します。この機能は反発する講師の方々もいましたが、受講者側では高く評価されている様です。
 大規模でeラーニングを展開しているLECさんのサイトでVODに関するアンケートを採ったところ、本機能を高く評価しています。
 参考:通信講座 Online Study Web受講の実態 - LEC通信講座 - 資格の総合スクール - LEC東京リーガルマインド

5.しおり
 コンテンツの時間が長い事もあり、どこまで見たのかしおり機能の要望がよくあります。


さらにコンテンツそのもの著作権やアクセスコントロールDRMなどの要素が絡んできます。
以上のような事を実現しようと思うと動画配信の選択肢は少なくなってしまいます。
最近ではFLVを使いたいという要望が良くありましたが、3と4特に4が大きな障壁になります。

時短再生について

 ストリーミング、プログレッシブダウンロードでの音声の早送りについて技術的に難しいものがあります。映像であれば、その時間の映像を取得して表示していけば良いのですが音声については波形ですので一部を切り取るわけにはいきません。
 またその音がちゃんと聞き取れないと意味がありません。さらには映像と極力擦れを生じないようにする必要があります。
 FLVでは現時点で実現できません。(Flash Media Server10.1で実装される予定らしいですが)
 マルチプラットフォームでこの機能を作成するにはやっかいみたいでいくつか見たかぎり、Windows上でのWindows Media Service+Windows Media Playerくらいしかちゃんと聞き取りができるものはありませんでした。
 SiliverLightに期待もしたのですが、現時点では本機能は搭載されていません。

次回はこれらの要素を踏まえた上でどの配信技術を使うのが良いのか考えてみたいと思います。