IIS Media ServicesのBit Rate Throttlingについて

WMVをストリーミング配信するにはWindows Media Serviceを利用しますが、ちょっとした映像を配信したい、またはシステムの構成をあまり変えずに配信する場合は実際のファイルをWebサーバに置き、プログレッシブダウンロードで済ますケースも多いです。
プログレッシブダウンロードを使う場合、IIS Media ServicesBit Rate Throttling を検討するのもよいかと思います。

IIS Media Services はIIS7、つまりWindows Server 2008ファミリにのみ用意されているIIS拡張でSilverlight+Smooth Strimingでの配信が主な機能となりますが、その中のモジュールの一つにBit Rate Throttling があります。このモジュールは名前の通り帯域規制を行うモジュールです。
この帯域規制は動画に限ったものではありません。
機能を説明するよりは実際の設定画面を見た方が早いです。

IIS Media Services3をインストール

Download IIS Media Services 3.0 (64 ビット) from Official Microsoft Download Center
日本語版をインストールしないと日本語にならないので注意。

IIS設定画面

インストールするとIISマネージャーのフォルダにメディアサービスが追加されます。
Bit Rate Throttling は「ビットレート調整」という名前になっています。

これを開くとビットレートの調整画面になります。

ビットレート調整


帯域規制は拡張子またはmime毎に設定を行い、この設定の単位をスロットと呼びます。見ていただければ分かる様にデフォルトでwmvだけではなく映像、音楽に関するものが多く設定されています。クライアント側でプログレッシブ再生可能なものが設定されているように見えます。
wmvのスロット設定を見てみるとファストスタート 20秒、スロットル率100%となっています。これはWMSのファストスタートと同じように最初に接続してから20秒は帯域を多めに使ってデータを取得してからその後は指定されたビットレートでダウンロードする設定となります。

もしこの機能を使わないと、WMVファイルのダウンロードに帯域を食われ、他の重要なやりとりが受けられなくなることを防ぐ事ができます。また、コンテンツへの同時アクセスが高まります。
この機能はjpgやflashmimeのスロットも作成することができます。
eラーニング系で起きたのはFlashのコンテンツを見てからテストを受けるような処理の場合、一斉に受講されるとFlashのダウンロードに帯域を食われてテストの処理がうまく動かない事がありました。こういった場合、Flashの帯域を押さえることでFlashのダウンロード時間は長くなってしまいますが、重要なテスト処理のレスポンスをある程度守る事ができます。音声を流しながらスライドを表示するようなサイトでも有効に活用できるかと思います。
またWMSとは違い、IIS配下で動作するのでアクセスコントロール等がIIS上のコンテンツと同様にできる利点もあります。WMSではこのあたり非常にやっかいです。
詳細についてはこちらが詳しいです。
ビット レート調整の構成のウォークスルー | Microsoft Docs

このあたりの帯域制御モジュールはapacheにもいくつかありますが、利用するとサーバパフォーマンスが落ちるそうです。ベンチまでは取ってませんがIISでも同じようにサーバのパフォーマンス低下を起こすと思いますので、大規模システムの場合はベンチをとってから利用したほうが良さそうです。WMVで大規模配信になるのであればやはりWMSにするべきです。