Moodleの小テスト 多肢選択型のtips

moodleの小テストのうち最も利用されるのは多肢選択型かと思います。
他のLMSでは正解は二値(true,false)だけで設定していくものが多いのですが、moodleでは評点に対する%で入力します。自由度が高い反面わかりにくいのでまとめてみます。

単一回答が「はい」の場合

  1. 必ず回答の一つに正解として100%を指定する必要があります。
  2. 正解は複数持たせる事が出来ます。回答すべてに100%と指定することも出来てしまいます。
  3. 回答のうち100%の正解が設定されていれば、他の回答には%設定が出来ます。
    • 例)評点10点で回答評点50%にした場合、その回答にチェックを入れると評点は5点となります。
  4. マイナス値は無視されます。

単一回答が「いいえ」の場合

  1. 評点の合計が100%になる必要があります。この合計は評点のプラス値のみが対象となります。
  2. 回答毎に評点が設定できます。基本的に正解の選択肢数を割った%を設定する事をお勧めします。
    • 例)回答1:評点60% 回答2:評点40%といった設定が出来てしまいます。
  3. 複数回答のすべてがあっている時にのみ評点を与える設定ができません。
    • 例)回答1:評点60% 回答2:評点40% 評点:100の時に回答1のみ選択した場合、評点は60点となります。回答1、回答2の二つがチェックされている場合のみ評点をつけることが出来ません。
  4. 正解以外の評点にはマイナス値を設定しておく必要があります。設定しなかった場合、すべての回答にチェックを入れられるとその問題の評点は100%となってしまいます。
    • 例)回答1:評点60% 回答2:評点40% 回答3:なし 評点:100と設定した時に回答1,2,3のすべてにチェックを入れると評点は100%となります。
  5. 正解以外の評点はこまかく設定することが出来ますが、-100%を設定することで不正解の項目がチェックされた場合に評点を0%にすることが出来ます。
    • 例)回答1:評点60% 回答2:評点40% 回答3:-100% と設定した時に回答3にチェックを入れるとかならず評点は0%となります。

まとめ

使っていてやっかいなの回答がすべて正解した時にのみ評点を与える設定が出来ない点です。これのせいで既存のテストの置き換え時に点数配分を考え直したりする必要があります。
評点の割り振り方法を簡略化した小テスト作成画面があってもよいかも・・・。moodle2でも同じ状況ならば簡易小テスト設定画面を作るかもしれません。

感想

学習主体のSNSを立ち上げてみたいというだけでも使う価値があるかと思います。
maharaを導入すればeポートレートが実現できるというものではなく、これを使ってどういった効果を狙うかはよく考えながら運用する必要があります。あくまでポートフォリオを作成するだけでそれをどう活用するかは利用者にゆだねられています。
個人の学習を蓄積してビューを作っていくというのが本来のコンセプトなのかもしれませんが、Webだけのインターフェイスというのはつらいです。私は学習や調べた事のメモはEvernoteに集約しています。Evernoteならばネットがない状態でも利用できるし、様々な端末から自分の情報を引き出すことが出来るのでこっちの方が好きです。maharaとEvernote連携出来れば便利そうです。
海外のeラーニング関係は日本のものに比較して先生やチュータの活動、学生のやる気がありきで作られているのか自由な部分が多く、それが日本だとどう使えば良いのか分らず「使えない」という評価になってしまう事が多く、maharaもそう評価されてしまいそうな気でもったいないです。

maharaで出来ない事

ポートフォリオは自分の知的活動を蓄積、管理していきそれを外部にアピールするシステムであるので、以下のような完全に管理されたシステムではありません。
大学で独自開発されたeポートフォリオシステムではこれらの事が出来るものはあるようです。

スキル管理ツールではない

大きな企業だと従業員のスキルや目標を項目化してDB管理する事が多いですが、maharaはそういったシステムではありません。転職サイトのような業務履歴やスキルを入力するような画面はありません。

指導の効率化を図るツールではない

先生が生徒の目標に対して指導を行うための効率的な仕組みがあるわけではありません。

スケジュール管理ツールではない

勉強の計画を立てていつまでに何を実施するか等のスケジュールを管理するものではありません。

maharaで出来る事

プロファイル機能

 自分のプロファイルを記入していきます。このあたりが普通のSNSにない部分です。
 記入する項目を細かく管理者側で設定することはできません。ある程度管理者側で記入方法のガイダンスは作った方がよいかと思います。
 記入した内容の公開、非公開はユーザ側で設定出来ません。
 履歴書、業務経歴書のように記入していきます。大きな項目として以下のようなものがあります。

マイレジュメ

 取得資格、執筆した本、教育履歴などを記入していく業務経歴書のようなエリアです。

イゴール

 目標を設定するエリアです。

マイスキル

 自分自身のスキルを記入するエリアです。

マイポートフォリオ

素材を組み合わせて様々なビューを作成して公開することが出来ます。
公開するビュー毎にアクセス権を持たすことが出来ます。
組み合わせられる素材は以下のものがあります。

  1. イメージ
  2. 外部ファイル
  3. 外部ビデオ、メディア
  4. Blog(表示日の指定も可能)
  5. 文書

勉強したレポートなどをこれで公開し、知の共有を図ることなどに使えますね。

SNS系機能

SNSで普通に搭載されている機能はmaharaにもあります。このあたりは他のものとそれほど代わり映えないです。

フレンド機能
  • マイフレンド
  • フレンド検索
グループ機能
  • マイグループ
  • グループ検索
  • グループ毎のフォーラム、ビュー
ブログ

一般的な機能は完備

インスティテューション

maharaのユーザをインスティテューション(組織)別に管理出来る機能です。インスティチューションに属するユーザの各種管理をそのインスティレーションスタッフや管理者がアクセスできるようです。
組織管理はmoodle同様階層化されていません。

maharaで出来る事出来ない事

前回インストールしたmaharaをレビューしようかと思いましたが、elw2010で酪農学園大学さんが「mahara作成マニュアル」というカラーの冊子を配布しており、これが非常によくまとまっていました。
これを見るのが一番だと思うのですが、Webでは配布してないようですね。
以下、少し使ってみてmaharaで出来る事と出来ない事を上げてみました。プラグイン等で実現できるものもあるかもしれません。

eラーニングワールド2.0雑感

eラーニングワールド2.0を見学してきました。

入場者数

今年行って驚いたのは来場者の少なさです。3日で1万人に達しなかったとのことです。http://www.elw.jp/

ブースの様子

ブース自体も2.0という事でWeb2.0でさんざん言われてきたことが全面的に押し出されたくらいで目新しいものは何も無かったです。
iPadを使った教育の提案もありましたが、ベンダーレベルの提案であり実際の学習効果が見えてこず私にはピンと来ませんでした。ただiPadの開発を始めた会社が結構視察していたようです。

カンファレンスは?

出展者や委員会の方にお話を聞くと有料カンファレンスの入場者は満席に近く、ブース当たりでの一人当たり対応時間、取得名刺数は昨年より多いとのお話でした。会場で開かれているeラーニング事例や大学の事例などは席も埋まっていたようです。

eラーニングは飽きられた?

来訪者数や会場の規模を見るとeラーニングというものが衰退してしまったように見えますが、セミナーの様子を見るとどうもそういう訳ではないようです。
プロダクトライフサイクルで言えば、eラーニング(特に企業向け)は成長後期に入っているのにeラーニングワールドの展示そのものは導入期の展示内容のまま数年進んでしまっているのが原因では無いかと個人的には思っています。セミナーに人が集まるのも取得名刺が多いのもこの展示がどうこうより具体的に困っている事を聞きたいためにこういう結果になった気がします。(展示されているものがどこも大差ないですし)
私自身は元々産業系のSEだったので、eラーニング以外のシステムの展示会に行きましたが、こちらは基本的に成熟期ともいえるものなので、新しい物や考えをひたすら出していくよりはどうすれば効率よく成果をあげられるかといった事が中心となっていました。こういった側面がもうeラーニングでも出せるはずなのですが、まだまだ薄いですね。
このずれを補正していかないと本当に見捨てられそうな気がしてます。

あと、企業と学校のeラーニングを一緒に語るのは無理がありすぎる。
学習という点では同じでも求められる成果が違うものをひとまとめにするのはどうかと・・・

eポートフォリオ maharaをインストールしてみる

eポートフォリオ

最近よくeポートフォリオの話題を聞きます。今月開催された教育ITソリューションEXPOでもいくつかの会社が出展していました。大学などでは就職活動を踏まえた学習目標立案および指導、医療現場でのスキルアップの目標設定などに活用されているようです。
企業では「目標評価」というものがブームになったことはありますが、こういったシステムがあまり出てこなかったのは不思議です。日本企業の目標評価というものが教育まで踏まえて考えられておらず、正しい評価が行われていなかったのが要因なのかなと思います。
SNSと組み合わせたeラーニングが新しいeラーニングだと主張しているベンダーが最近多いみたいですが、私個人としてはeポートフォリオの方を重要視しています。まだ見ていませんが、moodle2ではeポートフォリオが搭載されているとの事で期待しています。

mahara

カタログや論文ではeポートフォリオを見てはいましたが、実際にシステムを動かしてみようと思い、代表的なeポートフォリオシステムのmaharaをインストールしてみました。moodleとの連携できるようになっており組み合わせた状態を「mahoodle」と呼ぶそうです。

mahara環境の注意事項

基本的にmoodleが動く環境で動作しますが、DBに制約があります。mySQLInnoDBまたはpostgreSQLのみとなります。かつpostgreSQLが推奨です。
どうもトランザクションをちゃんとするみたいでmySQLMyISAMでは利用できません。レンタルサーバではmySQLのストレージエンジンはMyISAMしか利用できず、postgreSQLも利用できない場合が多いです。私が利用しているさくらインターネットのスタンダードでは利用できませんでした。
今回、私はすでにMoodleを稼働させているCentOS5.5+postgreSQL8.4で構築したのでmySQLの場合はどうなるか確認していません。

インストールのポイント

以下のサイトの手順通り行えば、インストールはできます。
Mahara日本語ドキュメント/システム管理者ガイド/Maharaのインストール - Mahara Wiki
ここでは補足事項を上げておきます。

config.php

Moodleと異なりconfig.phpは生成されません。自分で作成する必要があります。
maharaのフォルダ直下にあるconfig.php-distをコピーして作成します。
設定はDBに関するものとデータフォルダの位置だけでよいようにドキュメントにありましたが、実際にはmoodleと同様に$cfg->wwwroot でルートのurlを設定しないと正常に動作しませんでした。

// database connection details 
// valid values for dbtype are 'postgres8' and 'mysql5' 
$cfg->dbtype   = 'postgres8'; 
$cfg->dbhost   = 'localhost'; 
$cfg->dbport   = null; 
$cfg->dbname   = 'maharadb01'; 
$cfg->dbuser   = 'maharadbuser01'; 
$cfg->dbpass   = 'DBパスワード';

省略

// wwwroot - the web-visible path to your Mahara installation 
// Normally, this is automatically detected - if it doesn't work for you 
// then try specifying it here 
$cfg->wwwroot = 'http://centos-small/mahara01/'; 

省略
// This path must be writable by the webserver and outside document root (the 
// place where the Mahara files like index.php have been installed). 
// Mahara will NOT RUN if this is inside your document root, because 
// this is a big security hole. 
$cfg->dataroot = '/var/www/mahara01/maharadata'; 
省略
追加が必要なphpモジュール

moodleでは必要ないですがmaharaで必要なphpモジュールがありました。
php-xmlが必要でこれが無いとインストーラでエラーとなります。
今回はyumでインストールしました。php-xmlをインストール後、apacheを立ち上げして再度ブラウザでmaharaのルートURLを開けばインストールできました。

日本語化

moodleと異なり、言語パックのダウンロード、インストール機能はありません。言語パックを自分でダウンロードして配置する必要があります。
言語パックはここからダウンロードできます。
http://wiki.mahara.org/Download_Mahara#Language_Packs
インストール方法ですが、ここには「解凍された言語パックのディレクトリを、あなたのdatarootディレクトリ内にある、「langpacks」ディレクトリにコピーしてください。」とありますがこの方法で私の場合は日本語化できませんでした。
Mahara日本語ドキュメント/システム管理者ガイド/次のステップ - Mahara Wiki
ダウンロードして解凍すると「mahara-lang-ja」というフォルダが作成されます。この中身をmaharaをインストールしたフォルダにそのまま上書きコピーしたらうまく行きました。
「Site Administration」-「Site options」-「Languge」に正しく言語パックが反映されていると「日本語」が追加されているはずです。ここで日本語を選択でupdateすると画面が日本語になります。

とりあえずインストール、動作はできているみたいなので次回は簡単なレビューをしてみます。